従業員満足(ES)のポイントと手法
【従業員満足満足(ES)を経営に活かす方法】
筆 H27.1.25 山田社労士事務所
【はじめに】
当HPは、東京・池袋に事務所の山田社労士事務所が運営・管理しております。
当事務所は、成長志向の高い中小・ベンチャー企業、医療クリニック等における支援を得意とする、社労士事務所です。
顧問・コンサルティングポリシーは、「クライアント企業の成長を加速するための支援」を掲げ、企業成長を加速するという視点から、組織・人事労務管理の支援を行なわせて頂いております。
当コンテンツは、その一環として経営・人事に役立つ情報を、無料で提供することを目的として、情報発信・課題解決型のHPとして、豊富な情報を掲載しています。どうぞ日頃の経営、実務にお役立てください。
【本コンテンツの説明】
本コンテンツは、当事務所のクライアント層に多い、成長志向の高い中小企業の経営者様、医療機関の院長先生、福祉・介護施設の施設長様等を読者として想定しています。
企業(組織)成長を実現するために、今や「従業員満足」は、無視することのできない経営指標です。
専門知識が無くても、その重要性を理解でき、明日から、経営に活かせる内容として作成しています。
従業員1人、1人の貢献が大きく経営結果に左右する、中小企業(中小規模の事業所)こそ、「従業員満足を高める事が、会社業績に繋がりやすい」と言えます。
また、現下の「深刻な人材不足(採用難・定着率低下)」や社会問題化している「アンチ・ブラック企業」対策、を講じる上でも、従業員満足を調査し、必要な措置を講じる事が有効なアプローチとなります。
【このような経営課題や要望がある場合には、従業員満足度の調査と高めるための施策が有効】
①優秀な人材が定着しない(若年層の離職率が高い、特定の部署の離職率が高い等)
②採用難に陥っている
③人事制度(評価賃金制度)や就業規則を見直したいが、何をどうしたら良いのかわからない。(人事制度を変えたが、果たして機能しているのかわからない)
④企業吸収合併等の組織再編成を検討している
⑤「ブラック企業」と呼ばれないように、必要な対策を講じたい
⑥従業員の生産性が低下している
⑦労務コンプライアンス、労務リスクが心配
⑧従業員が何を考えているのか、わからない 等々
⑨離職予備軍がどれくらい存在するか把握したい
⑩顧客満足度を高めたい 等
【「従業員満足(ES)と顧客満足(BS)、会社業績の関係 ESは会社経営の根底】
従業員1人、1人の行動の集積が最終的に会社業績に繋がる事は、簡単にイメージできると思います。
企業は、「ヒト、モノ、カネ、情報等」の経営資源を配分し、投下することで、利益を上げています。
当然のことですが、この中で、主体的に行動をおこなうのは、「ヒト=人材」であり、実際に行動するのも、人なので、最も重要な経営資源として、考えられています。
「従業員満足(ES)なくして、顧客満足(CS)なし」と言われますが、顧客にサービスを提供するのは、従業員です。
もし従業員が不満に満ちた状況である場合、果たして顧客を満足・感動させられるような、サービスを提供できるのでしょうか。「答えはノー」ではないでしょうか。
顧客満足(CS)は、後に、「会社業績」という形で顕在化します。
とりわけ、接客サービス業や営業職、医療・介護等のサービスを提供する従業員の満足度は、非常に重要です。経営管理において、従業員満足(ES)と顧客満足(CS)を会社業績の先行指標として、定期的に調査・把握することの重要性も高まっています。
【従業員満足(ES)の構成】
従業員満足は大きく分けて、次の2つの要因から成ります。
(ア)動機づけ要因+(イ)衛生要因=「総合的にみた従業員満足度」
(ア)動機づけ要因(無くても不満は高まらないが、あると満足度が大きく高まる)
- 仕事の量
- 仕事そのもののやりがい
- 尊敬できる上司の存在
- 仕事を通じて自分が成長できていることの実感
- 仕事を自分に任せてもらえる等の裁量
- 評価と処遇(主に昇進・昇格)とキャリア開発支援 など
ポイント:動機づけ要因に該当するものは、 - 所属長(リーダー)の資質により大きく満足度が左右されるものが多い
- 非報酬的なものが多く、コストをかけずに、実践できる取組みが多い。
満足度向上のためには、積極的な取組みが求められる
(イ)衛生要因(無いと不満が非常に大きくなる。あって当然と思われるものが多い)
- 経営ビジョン(経営者、経営陣、経営方針、コンプライアンス体制)
- 労働条件(賃金水準、賞与、退職金、福利厚生、余暇
- 組織風土(雰囲気、気質、文化)
- 人間関係(上司と部下、同僚)
- コミュニケーション
- 業務支援(管理、方法、職務遂行上、最低限度、必要な教育)
- 労働環境(作業方法、作業環境、安全管理、健康管理)
→経営管理、人事制度等のマネジメントにより改善できる領域が多い。
基本的な事項なので、条件を引き下げたり、不満が高いと離職者を生じたり、採用難に陥る可能性大
補足)巻末に「マズローの欲求5段階説についても解説しています。
【従業員満足度調査の手法】
「従業員満足」という概念は、従業員1人、1人の感覚的な概念なので、これを次のような区分に分けて、数値化します。第一歩としては、まず「総合的な満足度」を全社単位で測定するのが効果的です。
「例 Q あなたの現在の会社に対する、総合的な満足度は、どれに当てはまりますか」
5非常に満足している
4概ね満足している
3どちらとも言えない
2やや不満
1非常に不満
この結果(企業全体の総合的な満足度)をもとに、どのような具体的に、どのような事が、が不満を構成しているか、何に満足しているか、細かい設問を設定して明らかにしていきます。
次のような「属性が回答者の属性」がわかるような、アンケートやヒアリングにすることが大切です。
一定の匿名性を担保し、率直な意見がでるような配慮をおこなった上で、絶対にNGなのは、批判的なことを、書いた従業員を特定し、懲罰的な事をおこなうような事は、従業員満足度調査の主旨を逸脱するので、そのような事が無いように徹底することも大切です。
- 部署、職種、男女別、勤続年数、年齢、雇用区分など
また、自由記載欄を設けることで、従業員の率直な意見を吸い上げるための設問
例)
会社にどのような事を求めているか?
働く上で一番重視している価値観は何か?
改善を強く求める点は何か? 等
- 離職率を下げる事を課題に掲げるならば、勤続の意思を問う設問を設定することも有効です。
【得られた満足度をもとに、どのように経営に活かすか】
調査の結果、「自社の従業員満足度を向上」させるために、どの要因を優先して改善するのか、またどのように改善するのかを決定します。この際に、「衛生要因は可能な限り早急に改善をおこなうべき」であると当事務所は考えています。
しかし、「賃金水準を一律に上げる」等は、企業負担が大きいので、非報酬面の改善も含めて、限られた原資と制約の中で、何を選択し、集中すべきなのかを良く検討する必要があります。
【経営環境の変化に積極的に対応することで、採用難・定着率改善に繋げる】
H27,11月度の有効求人倍率は、全国平均1.1倍(東京都1.66倍)と言われ、この水準は、20数年来の高水準となっています。業種・業態、職種等によっては2倍~5倍程度の激しい、「人材獲得競争下」にあります。
このような雇用環境の変化に対応し、優秀な人材を確保・定着していくためには、求職者と従業員に対して、自社で働くことの独自の付加価値を、具体的に見える形で提供し、訴求できることが求められています。
そのためには、まずは従業員満足度を調査し、把握することで、従業員の働く上での価値観を把握し、経営側は、それに対して、どのように応じていくかを検討することが有効であると当事務所は考えています。
(参考)【マズローの欲求5段階説】
「人間の欲求を5段階」で表現をしたもので、社内の人事制度を検討する上で役立つ考え方です。
上層にいくほど、「高次元な欲求」であり、原則として、下層の「低次元な欲求」が満たされると、段階的に高次元の欲求を満たすために、人間は行動するという理論です。この5段階欲求説を用いて、自社の従業員の満足度が、どのレベルにあるのかを知る事が可能です。
この欲求5段階説は、基本的には不可逆的で、
①自己実現欲求 |
②尊厳欲求 |
③社会欲求 |
④安全欲求 |
⑤生理的欲求 |
①仕事を通じて自己実現を図ろうとする欲求(職務拡大、キャリア開発・促進等)
②他人から尊敬されたいと思う欲求(昇進、表彰)
③他者に評価されたいと思う欲求(適正な評価)
④組織に属することで、安心・安全を求める欲求(快適な職場環境・福利厚生)
⑤最低限度、生きていくために必要な衣食住の欲求(報酬水準や労働時間、余暇等の最低限度の労働条件)
【まとめ】
従業員満足を経営にいかすためには、定点観測的に継続的に満足度を測定してみて、自社が行なった改善施策の効果を測定して、再評価し、継続的な改善に活かすことです。
また、CSや会社業績とどのように相関するかを時系列で調べ、「従業員満足を高めることを、会社業績の向上に繋げる」という視点が重要です。
【当事務所へのお問い合わせ】
当事務所では、従業員満足度調査の代行、評価処遇制度の見直し、採用改善等の支援をおこなっています。
中小企業や医療クリニック、介護施設の従業員満足度調査と人事制度コンサルティングは、当事務所に、お任せください。IT,建設業、運輸業、医療、介護業界、健康、ライフサイエンス業界等に貴社の業種が該当する場合には、当事務所のコンサルティング報酬が、国の実施する処遇改善の助成制度を活用することで、実質負担を0円とすることも可能です。(詳細については、当事務所までお問い合わせください)
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