はじめての就業規則

【はじめての就業規則】
筆H27.1.28 山田社労士事務所

就業規則を初めて作るとき、何をどうしたら良いか、検討が付かない経営者様が多いと思います。
本コンテンツでは、「はじめて作る就業規則」をテーマに、経営者がどのような点に注意すべきなのかを、分かりやすく解説しています。

定期的に、コツコツと記事を作成しております。経営にお役立てください。

サンプル規則は、経営者と従業員の距離が近い、「中小規模事業者」を想定し、作成しております。業種を特定せず、汎用性の高い内容で作成しています。


なお、当事務所が、クライアント様より委託を受けて、就業規則を作成する場合には、次のような着眼点で、「完全オーダーメイド」により、業界、経営方針・人事方針に即した特別な就業規則が仕上がります。

①見出しの作成
どこ(条・項)に何がかかれているのか、分からない規則は、本当に使いづらい。
各規則には、必ず「索引・見出し」を付け、一目でどこに何が書かれているのか、判別できる構成です。
あたり前の事ですが、これができている就業規則は、意外にもとても少ないのです。

②業界別にカスタマイズ
クライアント様の属する各業界を取り巻く、関係所法令や雇用情勢、雇用慣行に適した内容を検討します。
その他、業界、職種、地域特性等が異なれば、働き方や就業ルール等の慣行が異なったり、付帯する、労務リスクも異なったりします。

例えば、特定の業界(労基法の違反率の高い業種)の取締ポイントを理解すれば、対行政に対して、リスク回避効果の高い就業規則を作る事が可能です。

③クライアント別にカスタマイズ
経営方針、経営課題、コンプライアンス体制、人事方針、企業防衛(リスク回避)、コスト抑制など、各クライアント様が、経営上重視しているポイントを規則に反映し、体系化していきます。

真に、クライアント様だけのフル・オーダーの就業規則に仕上げます。

最近、相談が多いのが、人材不足に対応できる制度や、アンチ・ブラック企業のクリーンな労務管理を志向する、就業規則です。当事務所が得意とする領域です。

  • 事業部制を採用している場合には、事業部ごとにカスタマイズする
  • 多くの職種を雇用する場合には、職種ごとにカスタマイズする
  • 多店舗展開をおこなう場合には統一的管理をおこなうか、店舗ごとに管理をおこなうか 等も重要な視点

④なんと完成から2年間は「メンテナンス・フリー」
経営方針、企業規模、経営環境の変化、労働法や社会保険関係の法律の改変・改正のスピードは早いので、作成した、就業規則の定めが、実情にそぐわなくなることが珍しくありません。
条件はありますが、何と20時間の作業までは、メンテナンスフリーです。


第1回 H27.1.28

【前文】 省略

→ポイント)前文は必ずしも記載する必要はありませんが、経営理念、社是、社訓、人事ポリシー等を記載して、従業員に浸透を図ることが大切です。

●第1章 総則

 【第1条(目的)】

この規則は、株式会社○○(以下、「会社」という)の従業員の労働条件及び服務を定め、以って会社の事業の円滑な実施、および企業秩序の維持を目的としたものである。

→ポイント)就業規則には目的があります。
①法律の定めにより、特定の労働条件を明示する
②服務規律(やってはいけないこと)を明らかにし、遵守させることで職場規律を維持する
③就業時のルールを策定することで、効率的に業務が遂行できるようにする
+α 人員不足の時代にあっては、「従業員満足度が高まるような制度」を戦略的に定める視点も重要です。

【第2条(従業員の定義)】

この規則において、従業員とは会社と労働契約を締結したもののうち、以下の者をいう。

  1. フルタイムで勤務できる者であり、会社が求める職責を全うする者(正社員)
  2. ショートタイムで勤務する者であり、前号に定める職責を全うする者(短時間正社員)
  3. フルタイムで勤務できる者であり、かつ契約期間を定めて雇用する者(契約社員)
    →ポイント)正社員や契約社員、アルバイト等の雇用形態が異なれば、処遇が異なり、責任と権限も異なります。従業員が保護される法令の範囲も異なります。

どの雇用形態の従業員に、どの定めを適用するのか、必要に応じて、「アルバイト就業規則」のように、雇用形態別の就業規則を作成することも、労務管理を円滑にする上で、大切です。

★本日はここまでです。お読み頂きましてありがとうございます。
就業規則コンサルティングをご希望の方は、当事務所までご相談ください。


第2回  H27.1.29

【第3条(従業員の責務)】

従業員は、この規則の定めを遵守し、他の従業員と協働して社業の発展に努めるものとする。
→ポイント) 従業員満足度を高める経営を志向する会社は、会社も従業員に対して、就業規則の定めにより、処遇改善や労働環境改善に努める旨の記載をおこなう場合もあります。

【第4条 改定】

この規則は、会社の経営方針の変更、経営環境の変化、その他の経営上の必要性により、変更する場合がある。
→就業規則の定めを、変更する可能性があることを、事前に予見しておきます。

●第2章 異動 

【第5条 採用】

会社は就職を希望する者に対して、所定の選考試験を実施するものとし、試験に合格し、かつ期限内に、所定の手続きを完了した者を、従業員として採用する。

2.従業員は採用の際、以下の書類を提出するものとする。

①履歴書・職務経歴書
②健康診断結果票
③源泉徴収票(前職がある者のみ)
④年金手帳又は基礎年金番号の写し
⑤雇用保険被保険者証の写し
⑥住民票記載事項証明書
⑦各種免許証の写し
⑧入社誓約書
⑨その他、会社が提出を命じた書類

3.在職中に上記の情報に変更が生じた場合には、変更をした日から○○日以内に所定の様式により会社に、届出なければならない。

★本日はここまでです。お読み頂きましてありがとうございます。
就業規則コンサルティングをご希望の方は、当事務所までご相談ください。


【第6条 試用期間)】

会社に新たに従業員については、6ヶ月を超えない範囲内で試用期間を定める。尚、この規則において、試用期間とは、正規の従業員の適性を判断し、本採用をおこなうための期間である。

2.試用期間は、会社が認める場合には、期間を短縮し、又は設定しない場合がある。
3.試用期間満了時において、本採用をおこなうことが不適当であると認める場合には、本採用をおこなわない。
4.試用期間中の賃金については、賃金規程第○条に定めによる。
5.試用期間は勤続年数に通算する。
→ポイント)試用期間は、文字通り、お試しの期間として、従業員の適性を見定めるための期間です。

適性は、「健康状態」、「出退勤状態」、「勤務態度・意欲」、「職務遂行能力」などを、総合的に判断することが一般的ですが、基準は会社事・職種、中途採用と未経験者採用の違いにより、異なるべきものです。

本採用拒否の場合、後述の能力不足等の「普通解雇」により、「①雇用契約を終了させる」か、「②試用期間を延長するか」の二者択一の選択となります。

本採用を拒否する場合には、「労使トラブルに発展」する可能性が高いので、本採用基準を可能な限り、明確にしておくことが大切です。

【第7条 身元保証人】

身元保証人は、経済的に独立していると会社が認める者○名とする。
→ポイント)身元保証人を取るか、否かは会社の自由裁量です。

簡単に説明すると、次のような意義があり、身元保証人を取ります。

●「従業員が生じさせた、損害の賠償を身元保証人に賠償させる」
身元保証契約は、法律により手続きや制限が設けられております。
期間の上限は、「3年」、定めがある場合には、最初の契約に限り、「5年」の定めも有効です。注意は、従業員の職責や職種などが変更された場合には、その旨を身元保証人に通知する義務が、ありますので、運用にもご注意ください。

【第8条 異動】

会社は業務の都合により、「異動」を命じる場合がある。
この規則において異動とは、次の各号をいう。

①出張
②転勤
③在籍出向
④移籍出向
⑤配置転換

→ポイント)
異動の種類により、「業務命令」で行なうことができるものと、従業員との合意があり、初めて行なうことが、できるものに分かれます。

詳細な解説は、また後日おこないます。


本日はここまでです。お読み頂きまして誠にありがとうございました。

当事務所の就業規則コンサルティングをご依頼の場合には、お気軽にお問い合わせください。